2010.09.03

石楠花

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東京都中央区銀座三越 12F
Tel 03-3561-7040

設計:FHAMS 福本祐樹、家次宏
施工:乃村工藝社 荒井

101㎡+テラス席85.7㎡

京都駅から車で一時間ほど北に進み、鞍馬温泉を超え徐々に道が細くなり、気温がぐんと下がり、せせらぎに耳を傾けながら気付けば蜩がりんりんと鳴き、猿や狐たちに出会いながら行くその先、まさか銀座の飲食店の設計打ち合わせをしに行くとは思えないほどの山深い奥地に、摘草料理で知られる料亭旅館、美山荘があります。ここ「石楠花」(しゃくなげ)は、その四代目当主・中東久人氏による料理が楽しめるお店となっています。
このお店では緊張感のある老舗の京料理店などの類ではなく、繊細でありながらもどこか自然の匂いのようなものがあって、そのなかで京料理を楽しめる空間がよいのではないかと考えました。 店先には袖壁を設け、けれども障子戸を少し開けて、壁の上下を開放することで店内を見渡すことはできないけれども気配はわかるようにしています。
キッチンは、料理人が舞台に立つような位置に配置され、そのキッチンとカウンター天板の段差部分を曲面として緩やかに客と料理人を繋いでいます。その曲面は天井へと連続し、そのまま外部のテラス、外部の街並みへと連続するよう構成としています。テラスには風と光を感じながら銀座の街並みを見渡しながら食事ができるように月見台を設けています。あえて堀床にはせず足を崩して気楽に過ごしていただくように設えました。銀座から京都・花背を想起し、京都への思いを馳せることの出来る空間になったと思います。


PHOTO Nacasa & Partners inc.